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新任担当者のために失敗しない株主総会の運営方法を伝授!
2020年 02月 26日
企業にとって一大イベントのひとつである、株主総会。株主総会を新任した担当者にとって、何から手をつけてよいか...と悩みがつきないのではないでしょうか。今回は、株主総会とはどういったモノなのかという基礎や、運営スケジュールをイメージしやすいよう場面ごとにセリフを交えて解説しました。株主総会の全体像をつかむことで、優先順位を決めやすくなるのでぜひ最後まで読んでくださいね。
目次
■株主総会とは?
株主総会とは、重要な経営戦略や人事を決めるためのものです。株主総会では、会社の経営を左右する重要な事柄の意思決定を行います。この株主総会は、会社法に則り行われます。
会社法とは、会社の設立・組織・運営・管理について定められた日本の法律であり、法務省の管轄です。
株主総会の権限は、各々の会社で「取締役会」を設置しているかそうでないかで、決議内容が違います。
取締役会を設置していない(取締役会非設置会社)場合、株主総会では「会社法に規定している事柄」と「株式会社に関する一切の事柄」について決めていきます。一方、取締役会を置かなければならない(取締役会設置会社)場合では「会社法に規定する事柄」や「定款で定めた事柄」のみ、株主総会で決められます。
株主総会では株主を一同に集め、次の3つの事柄を取扱います。
1.会社経営に関する事柄
- ・定款(個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則。あるいはその書面。)
- ・事業譲渡
- ・合併などの組織再編行為・解散など
2.会社役員の人事に関する事柄
- ・取締役や監査役の選任と解任
なぜ人事について株主総会を開くかというと、株主は経営者である取締役を株主総会で選び、経営をお願いしている関係にあるからです。
3.株主の利害に関する事柄
- ・剰余金(商法・会計上の用語。純資金から資本金、資本準備金を控除した金額で、分配金可能額算定の基礎となる。)の配当
- ・役員の報酬
役員の報酬を役員自らに任せてしまうと、自分たちの好きなように報酬を設定できてしまうため、その行為を防ぐために株主に決議をゆだねます。
■株主がもつ2つの権利
株主には、大きく分けて自益権と共益権の2種類の権利があります。
自益権・・・会社から配当金などの経済的な利益を得る権利のこと。
共益権・・・株式会社の経営等の重要な意思決定に参加し、その経営を監査して是正(悪い点を改めて正しくする)する権利のこと。
これらの権利は、1人1意見ではなく、1株に対して1つの議決権が与えられます。
■株主総会の種類とは
ひと言で株主総会といっても、実は総会の内容によって2種類に分けられます。
定時株主総会
事業年度終了後に招集される株主総会であり、会社法で義務付けられています。日本では3月決算の企業が多く、決算に合わせ株主総会は5月上旬~6月下旬ごろに集中するようです。
臨時株主総会
必要があればその都度招集されます。そのため、定時株主総会のように決まった時期はなく、企業での取り組みによって時期や回数にもバラつきがでます。
■【株主総会の運営】事前準備編
事前準備では、次の2つの工程があります。
1.招集の決定
2.招集の通知>
具体的にどのような対応が行われるか見てみましょう。
1.招集の決定
株主総会を招集するためには、
開催日時
開催場所
開催目的
株主総会へ出席しない株主が書面によって、議決権を行使できる場合の詳細提示
(株主総会へ出席しない株主がメール等の電磁的方法によって、議決権を行使できる場合の詳細提示)
その他の法務省令で定める事柄
を決めます。
2.招集の通知
招集通知は、定時株主総会の場合には「株主名簿に記載されている株主」へ、臨時株主総会の場合には「開催日の2週間前までに告知し、招集通知を送る都合上、その段階で株主名簿へ記載されている株主」へ送ります。このとき、議決権を持たない株主へは、招集通知を行う必要がありません。
もし招集通知が株主の元に届かなかった場合、株主名簿の情報を元に発送されているため、何らかの原因で株主の元へ招集通知が届かなくても招集手続きに不備や手違いがあったとはみなされません。
招集通知が株主総会の参加票にもなるので、持参してくるよう呼びかけをしておきましょう。
株主総会 招集通知テンプレート
■【株主総会の運営】当日編
株主総会の当日は、受付で株主の出席を確認したあと、定時になりましたら1~9までの流れに沿って運営されていきます。
1.議長の就任
2.開会宣言
3.議事録署名人の決定
4.監査報告読み上げ
5.事業内容の報告
6.議案上程
7.審議方法
8.質疑応答
9.閉会宣言
1.議長の就任
株主総会の議長は、多くの企業では社長が対応しますが、会社法での決まりはありません。議長に就任した場合には株主総会の秩序を維持して議事を整理したり、議長の命令に従わない者あるいは株主総会の秩序を乱す者がいれば退場させたりします。
議長の選び方は、大きく分けると2つあります。株主総会の冒頭に出席者全員で決める方法と、予め議長を決めておく方法です。
議長
「社長の○○でございます。本日は、何かとご多用中のところ、株主の皆様には多数ご出席くださいまして、誠にありがとうございます。当社定款第××条の定めにより、私が議長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。」
2.開会宣言
議長より開会の挨拶
議長
「それでは、ただいまより、第●回定時株主総会を開会いたします。本日の会議の議案といたしましては、お手元の招集ご通知に記載がございます。」
3.議事録署名人の決定
議事録署名人とは、株主総会での議事録の内容に虚偽はないと証明する責任者をいいます。議事録署名人の選び方は、定款を定めている会社かそうでないかで違ってきます。もし定款がないのであれば、出席者のうち2名を選出します。
議長
「議事録署名人は、当社定款第××条の定めにより、■■と△△を選任いたします。」
4.監査報告の読み上げ
監査報告の前に、議長は株主総会のルール説明、たとえば質疑応答のタイミングなどを株主へ伝えておきましょう。また、株主数や議決権の個数等を出席した株主へ報告することも重要です。
監査報告に関しては、議長から監査役へ指示があり次第、報告がはじまります。
議長
「それでは、営業報告ならびに各議案の審議に入ります前に、監査役会より監査報告をお願いいたします。」
5.事業内容の報告
事業報告の記載については、会社法に則って行われます。会社が公開会社であるかそうでないかで、報告内容は異なります。
公開会社の事業報告の場合、
1.株式会社の現況に関する事項
2.会社役員に関する事項
3.株式に関する事項
4.新株予約権等に関する事項を記載
についても報告しなくてはいけません。
議長
「続いて、令和○年○月○日から令和○年○月○日までの第○期の営業報告書についてご報告申し上げます。お手元の第○期の営業報告書をご覧ください。」
6.議案上程
株主総会で議題として取り扱うことを「上程」といいます。議題とするためには、議事日程に従って、議長が該当案件を議題とする宣告が必要です。
議長
「続きまして、第1号議案から第3号議案までの各議案を上程させて頂きますと共に、その内容につきまして予めご説明申し上げます。決議事項につきましては、お手元の招集ご通知記載のとおりでございます。」
7.審議方法
株主総会の議案の審議方法は、報告事項や議案を1つずつ議題にかけ、審議・質疑応答を行う方法(個別上程・審議方法)と、報告事項だけでなく複数あるいは全部の議案をまとめて審議・質疑応答する方法(一括上程・審議方式)があります。
個別上程・審議方法の場合、議案と質問の対応関係がわかりやすく、関係のない質問については拒否できるが、IR(インベスター・リレーションズ)の観点からは望ましくない場合もあるので、臨機応変に対応するとよいでしょう。
一括上程・審議方法の場合、株主にとって関心がある事項がどの議案に関係するのかを意識せずに質問しやすくなり、会社としても時間配分で運営がしやすいメリットがあります。
議長
「それでは、この後の進行方法につきましては、報告事項ならびにすべての決議事項について、株主の皆様からの質問・ご意見・動議を含めた審議に関する一切のご発言をお受けいたします。その終了後は、決議事項につき採決のみをさせて頂きたいと存じますが、ご異議ございませんでしょうか。」
8.質疑応答
審議方法について過半数の賛同を得られたら、いよいよ株主からの質疑がはじまります。この質疑については、予めどのような質問がくるか予想を立て、事前に準備しておくとよいでしょう。
議長
「ご質問・ご発言にあたりまして、挙手をして頂き、私が指名しましたら、お近くのマイクにてご自分の出席票番号とお名前をおっしゃっていただいた上で、要点を簡素に、ご発言されますようお願い申し上げます。」
9.閉会宣言
すべての議案の審議が決まったら、議長から閉会の挨拶をしてもらいます。
議長
「以上をもちまして、本総会は閉会と致します。本日は、誠にありがとうございました。」
企業によっては、株主総会後に懇親会を用意し、株主の方々との親睦を深める場として活用しているようです。会場のセッティングでは、株主総会を開催している場所から隣接しているパーティー会場か別フロアに準備しておくのもひとつの手です。たとえば、エッサム神田ホールで株主総会を行った場合、エッサ神田ホール2号館の大会議室で株主総会を行った後、最上階の開放感・特別感あふれるスカイホールで株主との懇親会を組むのもよいでしょう。
■【株主総会の運営】会終了後編
株主総会が閉会したら終わりという訳ではありません。会社法に則り、株主総会の議事録作成や決議内容の反映などがあります。
1.議事録の作成と保存
2.期間内に登記事項の変更手続き
3.配当金の支払い
1.議事録の作成と保存
株主総会での議案について審議がどう決定したのか、第三者が閲覧した際にわかるようにしておかなければなりません。
また押印について、よく株主総会の署名と取締役会の署名をごっちゃにしてしまう人がいますが、実は違います。株主総会では、誰が署名または記名押印をしなくてはいけないなどの定めがありません。ですが、株主総会の議事録を第三者へ見せる場合には正真正銘の書類であることを示すために、会社の代表取締役の印等を押印することが理想的です。
2.期間内に登記事項の変更手続き
株主総会の議案によっては、新しい役員が就任するなど登記にかかわる議決結果もあります。その際には、登記変更の作業が必要です。
登記手続きは、本店所在地では2週間以内、支店所在地であれば3週間以内に行わなくてはいけません。もし申請期限を過ぎてしまうと、100万円以下の過料の対象となるので注意しましょう。
3.配当金の支払い
株主総会で余剰金分配に関する決議がされた場合には、株式配当通知書を作成し「権利確定日」に当てはまる株主へ送付します。
■株主総会のご相談はエッサム神田ホールへ
株主総会は、いわば会社の顔。準備することは山のようにありますが、その中でも株主総会を行う上で株主が来場しやすい会場選びを失敗しては、株主総会の出席率にも響く可能があります。来場のしやすさには、立地やアクセスが関わってきます。
東京都内で開催する際には、株主の特徴を分析し地方の方でも参加しやすい会場が望ましいです。エッサム神田ホールは、東京駅からのアクセスもよく、神田駅周辺には3つのビルが存在します。駅のホームから見えるエッサム1号館の看板は、「道に不慣れな方にも安心して来場できる目印として重宝している」とご利用者からあたたかいお言葉をいただいております。
会社の規模によってさまざまな型式がある株主総会。エッサム神田ホールでは大小さまざまな貸し会議室を有しているため、規模に合わせた株主総会運営が可能です。詳しい貸し会議室情報はこちらをご確認ください。開催規模や予算など、ご不明な点があればお気軽にお問い合わせくださいね。