リスキリングとは?DX時代のデジタル人材獲得術を伝授!

2024年 09月 30日

リスキリングとは?DX時代のデジタル人材獲得術を伝授!

近年、耳にする機会が増えた「リスキリング」。世界に比べ日本は遅れを取っているリスキリングですが、政府の後押しもあり、徐々に取り組む企業が増えつつあります。今後、リスキリングの導入を考えているが、そもそもリスキリングがどういうものなのか、分からない人も多いのではないでしょうか。

今回はリスキリングとは何か、リスキリングが注目されるようになった背景を踏まえ、導入のメリット・デメリットや導入方法、補助金・助成金についてお話しします。

 

 

■リスキリングとは?


リスキリング(Reskilling)とは
意味 現在持っているスキルとは別の職種・業界へのスキルを習得する、あるいは習得させる
類語 アップスキリング、アウトスキリング、リンカレント教育、アンラーニング

 

経済産業省では、リスキリングを次のように位置づけています。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

経済産業省, リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―(1)

 

現在のビジネス環境は目まぐるしく変化しています。変化の要因としては、デジタル技術の急速な進歩やグローバル競争の激化、消費者ニーズの多様化、環境に配慮した対応などが挙げられます。企業にはこれらの問題に向き合い、解決する力が求められつつあります。

そのためリスキリングによってビジネス環境への適応力を高め、一人ひとりの市場価値を高める動きが活発になっています。

 

POINT リスキリングとアップスキリング、アウトスキリング、リンカレント教育、アンラーニングの違い

 

いずれも継続的な学習や能力開発に関連していますが、それぞれ異なる目的や焦点を持っています。

概念 目的
リスキリング キャリアの大きな転換や、新しい分野への移行を可能にする
アップスキリング 現在の職務でのパフォーマンス向上や、同じ分野でのキャリアアップ
アウトスキリング 従業員の将来的な雇用可能性を高める(とくに組織再編や人員削減の際)
リカレント教育 最新の知識や技術を習得し、キャリアアップや転職のための自己学習を支援する
アンラーニング 新しい考え方や方法を受け入れるために、古い思考パターンや習慣を取り除く

 

リスキリングとアップスキリングは個人のスキル開発に焦点を当てていますが、アウトスキリングは組織の視点から従業員の将来を考慮しています。リカレント教育は学び直しを意味し、アンラーニングは新しい学びの前提として古い知識や習慣を取り除くプロセスに焦点を当てています。

 

■なぜリスキリングが注目されているのか?


リスキリングが注目され、促進されている主な背景には次のような要因があります。

 

(1)デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速


デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速

人工知能(AI)、ロボティクス、ビッグデータなどの技術革新により、多くの職業や業務内容が変化しています。従来のスキルでは対応できない新たな職務が増加し、既存社員が新しいスキルを習得する必要性が高まっています。

 

(2)世界的な取り組み


2020年に開催されたダボス会議にて、2030年までに全世界で10憶人のリスキリングが必要という見通しが示されました。「第4次産業革命」による技術進展で、多くの仕事が消失する一方で新たな職務も創出されると予測されています。

 

(3)政府の支援


日本では少子高齢化による慢性的な人手不足が課題です。既存の人材のスキルアップを図ることで、生産性向上や人材の有効活用が期待されています。厚生労働省は人材開発支援助成金を開始し、企業のリスキリング促進を後押ししています。

 

■リスキリング導入のメリットとデメリット


リスキリング導入のメリットとデメリット

企業がリスキリングを導入することで、今所属している社員一人ひとりのスキルが向上し、様々な面でメリットを実感できるでしょう。ただ、導入におけるデメリットも存在するため、企業はリスキリングの導入を慎重に評価し、適切な戦略を立てる必要があります。

 

メリット


  • デジタル人材不足の解消
  • 人材採用コストの削減
  • 自発的に考え行動できる、自立型人材の育成
  • 新規事業やイノベーションの創出
  • 自社の強みや文化に精通した社員による業務の調和
  • 従業員の会社に対するエンゲージメント向上
  • 既存社員による業務効率化

 

デメリット


  • 企業による費用と時間の負担
  • リスキリング投資に対する費用対効果の懸念
  • 従業員への負担
  • リスキリング導入の複雑さ
  • リスキリング導入初期における既存業務への圧迫

 

■リスキリング導入に向けた進め方


リスキリング導入に向けた進め方

リスキリング導入にあたって次のステップとポイントを押さえることで、効果的なリスキリング導入が可能となります。リスキリングは、組織の状況に応じて柔軟に調整しながら、継続的に取り組むことが重要です。

 

1.Plan:リスキリングのテーマを決め、計画を立てる


まず、組織全体の事業戦略とそれに伴うスキルギャップを明確化します。

現状の業務におけるスキルを可視化し、今後のニーズに対して足りないスキルをピックアップしてみましょう。リスキリングの方向性・目標を言語化することで、リスキリングの必要性を社員へ説明しやすくなります。リスキリングは社員の理解が得られないと成功は遠のくでしょう。

 

次にリスキリングの教育プログラムを計画していきます。

教育プロフラムは、研修やオンライン学習、国内外で提供されている教育プログラムなどを活用してみましょう。

 

2.Do:学習環境を整備し、取り組む


リスキリングは働きながら学ぶため、学習量や学習難易度には注意が必要です。社内の協力体制を見直し、リスキリングに配慮した学習環境を整えましょう。

 

リスキリングを行うにあたり、個々人の希望するキャリアや学習領域をヒアリングします。

リスキリング希望者には、実際に教育プログラムに取り組んでもらい、定期的なフィードバックを取りましょう。通常業務とリスキリングの両立にあたって業務量だけでなく、社員の健康面も配慮が必要です。

 

3.Check:実践で活用し、評価・分析してみる


リスキリング希望者からの定期的なフィードバックを元に分析し、教育プログラムとのマッチングを評価しましょう。

実際に取り組んでみて、難易度が社員に合っていなかったあるいは既に習得済だったなど、取り組んだからこそ分かる情報があります。

 

4.Action:問題点の洗い出しと改善案を作る


既存の教育プログラムの問題点を可視化し、改善案を作ることで、常によりよい教育プログラムへとブラッシュアップできます。

リスキリングはすぐに結果が出るものではありません。学習期間は、中長期を見据えておきましょう。

 

■リスキリングに関する企業向け補助金・助成金


リスキリングに関する企業向け補助金・助成金

リスキリングはデメリットでも挙げた「費用」が掛かります。国としては、今後のビジネス環境を見据えデジタル人材を増やしたい思いがあり、そのため政府は助成金を出して推進に力を入れています。リスキリングに関する補助金・助成金には、次の4つがあり、最新情報は各HPをご確認ください。

 

人事開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)


新規事業の立ち上げなどで、雇用主が労働者へ知識・技術の習得のための訓練を実施した場合に適用される助成金です。新規事業だけでなく、既存の事業においても、企業内のDX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める上で、必要となる知識・技術の習得訓練もこの助成金の対象となります。(2)

 

ものづくり補助金


中小企業・小規模事業者等の生産性向上を支援するための補助金制度です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。(3)

 

IT導入補助金


中小企業・小規模事業者等の業務効率化や生産性向上を支援するための補助金制度です。この制度は、企業が導入するITツール(パッケージソフトやクラウドサービス等)の費用の一部を補助することで、企業の競争力強化を目的としています。(4)

 

DXリスキリング助成金


東京都が提供する制度で、都内の中小企業や個人事業主がDXに関する職業訓練を従業員に受講させる際の経費を助成するものです。この助成金は、企業のデジタル化推進と従業員のスキルアップを支援することを目的としています。(5)

 

■リスキリング研修を行うならエッサム神田ホール


リスキリング研修を行うならエッサム神田ホール

常に新しい技術が増える中、デジタル人材の確保は急務といえます。リスキリングで求めるスキルは企業ごとに違いますが、多くの職種・業界でデジタル人材は喉から手が出るほど欲しいのではないでしょうか。リスキリングは、社内だけでなく、社外で研修を受けることも可能です。例えばリスキリング希望者を一堂に集め、外部講師による研修を行うのもひとつの手でしょう。

 

エッサム神田ホールは、神田駅から徒歩圏内のため研修会場として利用しやすい立地にあります。人数に合わせて適した会場を利用でき、館内のネット環境充実に力を入れています。また、個別学習に適した机を一人ひとりが利用できる学習環境を用意しております(写真はエッサム神田ホール1号館の401)。

リスキリング研修をお考えの方は、当館スタッフまでお気軽にお電話ください。

 

参照元:

(1)^ 経済産業省, 「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―

(2)^ 厚生労働省, 「人材開発支援助成金のご案内(詳細版)

(3)^ 中小企業庁, 「ものづくり補助金総合サイト

(4)^ 中小企業庁,ミラサポ, 「IT導入補助金とは

(5)^ 公益財団法人 東京しごと財団, 「DXリスキリング助成金