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今さら聞けない「テレワーク」とは?導入後にみえてきた新たな課題
2020年 11月 27日
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを導入した企業も多く、緊急事態宣言後もテレワークを続けている企業もいます。そんな中、テレワーク導入後に取りやめてしまった企業も...。なぜ、テレワーク導入を取りやめてしまったのか、テレワークの知識を踏まえつつ、テレワークのメリットとテレワーク導入からみえてきた新たな課題についてお話ししていきます。
■そもそもテレワークとは何か?
テレワークとは、時間や場所にとらわれることなく働けることを指します。IT技術が発展した現在だからこそ実現できる働き方といえるでしょう。
tele(離れた所)と work(働く)をかけ合わせた造語(telework)
類語:在宅勤務、モバイルワーク、リモートワーク、フレキシブルワークプレイス など
【豆知識】テレワーク・リモートワークの違いは?
リモートワークもテレワークもどちらも「働く場所」が遠く離れた所が当てはまりますが、大きな違いは「時間」の言及です。テレワークでは場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を定義しています。一方リモートワークは場所について提示していますが、時間については触れていません。例えば、遠隔での仕事でも出社と同時刻であれば「リモートワーク」、原則8時間労働・1時間休憩を守って働いていれば「テレワーク」といった使い分けをしていることが多いようです。
テレワークの種類
テレワークには、働く場所と雇用形態に合わせて分類できますが、大きく分けると次の3つに当てはまります。
在宅勤務 (雇用型もしくは自営型) |
自宅にIT環境を用意して従事する働き方。雇用型の在宅勤務は、企業の労働条件に従事して働きますが、自営型は企業に属さず、特定の事業に従事して働きます。この自営型テレワークをSOHO(Small Office/Home Office)と呼ばれることもあります。 |
---|---|
モバイルワーク (雇用型もしくは自営型) |
施設に依存せず、いつでもどこでも仕事が可能な働き方。PCやスマートフォンを活用したワークスタイルで、雇用型としては営業職などで取り入れられています。また、専門性は低いが簡易的な業務を中心に行う自営型を内職副業型勤務とも呼ばれます。 |
サテライトオフィス勤務 (もしくは施設利用型勤務) |
サテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィス等を就業場所として従事する働き方。 |
この他にも、常時勤務や部分的な作業に合わせたテレワーク導入など、企業ごとにさまざまな形で取り入れられています。
■テレワーク導入によるメリットは?
「テレワーク」を通して、企業・社会・労働者側にどのような恩恵があるかまとめました。
企業側のテレワーク導入メリット
・営業効率の向上
JMACの調査によると営業職における1日の勤務時間のうち、顧客先への移動時間が19~26%を占めることが分かっています(1)。テレワークを導入することで、移動時間で費やしていた時間を別業務に割り当てられ、より充実した営業活動になるといえるでしょう。
・従業員満足度の向上
従業員の待遇だけではなく、仕事のやる気や職場環境の改善・向上が期待される。働く社員がモチベーション高く仕事に取り組めることは、結果として顧客満足度や生産性向上にも大きく貢献されます。
・有能または多様な人材の確保/離職率の低下
いままで介護や結婚などによって、やむなく離職していた有能な人材をつなぎとめる方法として注目されている。また、地方に在住する有能な人材を確保することも可能。
・BCP対策(非常災害時の事業継続)
台風や地震などの災害、新型コロナウイルスのようなパンデミック対策としてテレワークを導入する企業が増えつつあります。これからの企業は、事業継続が可能な組織体制を求められるので、その施策としてテレワークは有用といえます。
・障害者雇用
現状、都市部での求人数が多いのに対して充足率が比較的低く、地方では求人数が少ないのに対して充足率が高い傾向があります。その打開策として、地方の就業希望者と都市部の企業をマッチングさせて、テレワーカーとしての雇用が可能となりました。
・企業ブランディングの構築・向上
テレワーク導入によって、企業の社会的イメージの構築・向上が望める。企業ブランディングが高まることで企業イメージの改善・向上から信頼度の獲得、有能な人材の確保、企業全体の売り上げ貢献に関わってきます。
・ワークライフバランス
労働者1人ひとりがやりがいや充実感を得ながら働き、社会生活を送るにあたって、テレワークは場所や時間の縛りがなくなり、多様な生き方・選択が可能となります。
・コスト削減
テレワーク導入で「オフィスの賃料・維持費」や「社員への通勤手当」、「離職率低下や有能人材確保の採用費」などの削減が見込めるでしょう。また、テレワークに伴いITツール活用で業務効率化して人件費や残業代の削減を行っている企業もあります。
社会側のテレワーク導入メリット
・中小企業強化
テレワーク導入で中小企業の経営力が向上すれば、結果的に国力の底上げに貢献できます。
・少子高齢化対策の推進
働きたくても働けなかった人たちにも柔軟な働き方・就業機会を得られることで、ライフイベントと仕事の両立が可能。
・就労弱者への支援
仕事をする上での個々人の抱える問題(育児や高齢、障害など)をテレワーク導入により、通勤解消や雇用条件の見直しなどにテレワークが一役買っている。
・地域創生/地域活性化
テレワークによって、地方と都市部のつながりが生まれたり、地方での空き家や古民家などが積極的に活用されたりする。
・環境負荷軽減
テレワーク導入で「二酸化炭素の排出削減」や「電力消費の削減」、「ごみの排出削減」などの環境負荷を減らせる。リージャスグループが行った調査によると、テレワークによって2030年までに2億1,400万トンのCO2削減が明らかとなりました(2)。
労働者側のテレワークメリット
・通勤時間の削減
2015年に行われた社会生活基本調査によると、全国平均で79分ほど通勤・通学に時間が割かれており、東京都在住者は94分と全国平均を大きく上回る通勤時間であることが分かった(3)。
テレワークによって通勤時間が無くなればその分、別の時間として活用でき労働者の負担も減られます。
・雇用の継続
なんらかの理由で出社できなくなってしまった労働者が、テレワークによって自宅・サテライトオフィスなどを利用することで仕事を継続できる。
・子育てや介護との両立
いままで子育てや介護との兼ね合いで仕事を離れていた人もテレワーク導入によって、仕事との両立が可能。
・居住地の選択
テレワークによって場所の制約がなくなったことで、都市部から地方へ移住することも容易となった。
・病気やケガ対策
新型コロナウイルス感染症対策としての3密回避や、通勤時などによるケガ予防にテレワークが役立っています。
■テレワーク導入事例
テレワーク導入はさまざまな企業で取り入れつつあります。その中でも令和2年にテレワーク先駆者百選で総務大臣賞を受賞した5つの企業をご紹介します。
1.江崎グリコ株式会社
江崎グリコ株式会社では2015年から、育児・介護従事者の両立支援を目的に在宅勤務制度を取り入れつつ、フレックス制度の見直しや時間単位での年休取得など、柔軟な働き方を実践してきました。
2.株式会社キャスター
リモートワークで業務遂行することを前提とした組織形成行い、自社内でのリモートワークのノウハウを活かしてリモートワーク導入支援を行っている。本社を宮崎県に置くことで、地方での雇用機会を生み出すことにも力を入れている。
3.チューリッヒ保険会社
全部門の業務を在宅勤務に移行し、長崎県にオフィスを開設することで地元人材を積極的に採用・雇用している。
4.富士通株式会社
新型コロナウイルス感染症対策の一環で、社員を原則テレワーク勤務で事業継続を行いました。その後も製造拠点を除く従業員に対してのテレワーク勤務を基本勤務にシフトしました。
5.八尾トーヨー住器株式会社
テレビ会議やサテライトオフィスなどを利用して移動時間や残業時間の削減を実施。その結果、ライフイベントによる離職ゼロや業務効率化などの効果がありました。
■テレワークの課題とは?
テレワーク導入で多方面においてメリットがありましたが、緊急事態宣言でのテレワーク導入後にテレワークを取りやめた企業も一定数いました。テレワーク導入後になぜ取りやめてしまったのか、導入における問題点・課題をみていきましょう。
新型コロナウイルスに関するアンケート調査 一部抜粋 |
調査結果 | ||
---|---|---|---|
実施中 | 取りやめ | 実施していない | |
第6回 |
31.02% | 26.78% | 42.20% |
第8回 |
34.40% | 22.85% | 42.75% |
(参考:第6回および第8回の東京商工リサーチの調査結果を基に作成)
東京商工リサーチが行った「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を見てみると、緊急事態宣言後にテレワークを取りやめた企業が全体の2割強いたことが分かりました。結論から言いますと、テレワーク導入においてIT環境や社内ルールなどが整備されずにテレワークを取り入れたために、社内統制がうまく取れずテレワークのメリットや恩恵をあまり感じられていないことが、テレワークを取りやめてしまった一つの要因で挙げられます。
テレワーク導入後に感じた問題点・課題
・経営層が「テレワーク導入にメリットがない」と考えている
テレワーク導入にさまざまなメリットがあることをお伝えしましたが、その恩恵を受けるには長期的なスパンで検討することも時には必要です。通勤時短やごみの削減などの早い段階でメリットを実感できることもあれば、利益アップや業務効率化などは企業・事業部ごとにPDCAを回していくためある程度の時間を要します。またこれまでの経営体制で成り立っていたものに、テレワークを導入することに不安を募らせる経営者もいます。テレワークの魅力について力説した資料を経営者に渡すよりも、実際にテレワークでも組織運営が可能であることを占めることが経営者層への説得のカギとなるでしょう。
・「業務を切り分けられない」という思い込み
テレワークと聞いたら「自宅等にてすべての業務を行う」というイメージを持っている人もありますが、業務に合わせてテレワークと上手く付き合っている企業もいます。事務作業であれば自宅での勤務、顧客との会談するのであればサテライトオフィス、重要な会議であれば本社出社など、業務に合わせてテレワークを取り入れるといいでしょう。
・上司と部下のコミュニケーションに負荷
いままで社内勤務だったことで相手の様子や状況に応じてコミュニケーションを取ることが簡単だったが、テレワークによって常時1人で作業することになりしまた。分からないことや聞きたいことがあったときに、連絡ツールで質問していいか確認を取るなどのひと手間が増えた人も多いのではないでしょうか。
テレワークによって、社員1人ひとりの管理体制(仕事のやり過ぎやサボりなど)が分からず、人事評価や人材育成がしにいと感じる管理職の人もいました。また、プロジェクトやタスクの進捗管理がしづらいと感じる面もテレワーク取りやめの足かせとなったようです。
・IT化やモバイルツールの未整備
緊急事態宣言によって、急遽導入したテレワークでしたが、仕事環境が整備されていない状態でいきなりのIT化は、セキュリティや作業効率、決裁などの社内ルールなどに課題が多くありました。いまだにハンコ文化での管理体制を行っている企業にとっては、テレワークを導入していても業務上ハンコの押印が必要なため、仕方なく出社になったというケースもありました。
・労務管理が難しい
テレワークは社内勤務ではないため、実際の労働実態を把握しづらいという問題があります。勤怠管理の準備がなくテレワークを開始してしまった場合、作業効率の悪化や無駄な残業の発生などが生じることもあります。
・従業員間または部門間で不公平感が生まれる
テレワーク導入には業務によって向き不向きがあるでしょう。テレワークを行う従業員とそうでない従業員にとって、公平な評価などを設ける必要があります。
・テレワーク導入におけるコスト上の課題
テレワークを安易に考え思っていたよりもコストがかかってしまった...というお話を聞くことがあります。テレワーク環境の構築の上で、社員のIT環境の事前調査、設備不足であれば会社からのPC貸付やネットワーク回線の手配などが求められます。また、個人宅に会社のような備品が備えている人は少なく、コピー機などのオフィス用品がなく困った人もいるようです。
・生産効率に支障が生じる・商談機会が減少
テレワークにより通勤時間が無くなり、余った時間を別のことに当てられるようになりましたが、労働者によっては自宅だとなかなか集中できないと悩む人も。また、在宅中に子供の世話や家庭の用事などで思うように仕事がはかどらないこともあります。Web会議ツールであるZoomを使って商談することも可能ですが、画面越しの商談や対面で使えたボディーランゲージなどが上手く使えず、IT化に苦手意識を持つ人もいるようです。
・テレワークに向いた業務がない・業務がリモートワークに不向き
今回、多くの企業がテレワークの導入を行いましたが、上手くテレワークがかみ合わず導入後にテレワークの取りやめを行った企業もいるようです。テレワークに向いていない業種としては、生産業や製造業、接客・販売業、医療などが当てはまります。
・運動不足により健康被害が起きる可能性
テレワークを長期的に実施した場合に考えられうる課題として、労働者1人ひとりの運動不足でしょう。テレワークが増えたと同時にテレワーク太りの言葉も新たに出てきましたね。運動不足を防ぐために、適度な運動を取り入れられるよう個々人への呼びかけが必要です。
■エッサムであればテレワークもサテライトオフィスもOK
テレワークにはメリットはもちろん、さまざまな問題点や課題がありました。今回取り上げたテレワーク導入の問題点・課題についてですが、エッサム神田ホールではこれらの問題点を解決した上で、テレワーク・サテライトオフィスとしてのご利用が可能です。エッサム神田ホールは、神田に3つの貸し会議室専用のビルを構え、勤務地や営業拠点地としての利便性もよく、人の出入りが少ないため安心して仕事に専念できます。館内も定期的にスタッフが清掃・換気しているため清潔感があり、オフィス備品の利用も可能です。 大会議室から小会議室まで、ゆとりあるレイアウトでご利用可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
館内には全室に電源・Wi-Fiが完備されているので、在宅勤務での通信回線が切れるといったストレスなく仕事ができます。少人数からのご利用ができチームごとに会議室を利用し、ソーシャルディスタンスを保って打合せ、ランチミーティング、事業部会議などで利用する方も。ご利用の際にご不明点があればお気軽にご連絡ください。
参照元:(1)^JMAC,第71回「営業マンの有効活動時間の拡大ポイントとは」,
https://www.jmac.co.jp/wisdom/marketing/71_1.html
(2)^PRTIMES,通勤時間の短縮により、2030年までに2億1,4000万トンの二酸化炭素が削減可能に,
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000015333.html
(3)^総務省 統計局,平成28年社会生活基本調査-生活時間に関する結果- 結果概要,
